●技術科の学習を始めるにあたって 今日の人間社会は高度に発達した文明の上に成り立っています.農業の 発達により多くの人口を支える食糧が供給されるようになり,建築・土木 技術の発達は都市生活を成り立たせ,機械・電子技術の発達は近代的で 文化的な社会生活を成り立たせることとなりました.これらに共通する ことは,『自然界にあるものが自然のままであること』とは反対に, 人間が目的や意識や知識を持って考えて計画的に行動した結果に成り立つ ものばかりです.これらの知識や経験を技術と呼びます.わかりやすく 言いかえると「自然には起きないことを起こす」それが技術なのです. 農作物も建物も機械もみんな自然界には存在しません.人間だけが作り出す ことができます.人間が作り出した「言葉」は国語や英語で,人間が作った 「社会」は社会科で学習しますから,人間の作り出した技術文明は技術科で 学習するわけです. 技術はさらに,農学,工学,情報科学などの分野などに分けられますが, 獨協中学の技術科では小学校の学習に続くものとして,主に電気や機械の 分野の基礎について学びます. 技術の発達は,とても便利で高度な世の中を実現しましたが,環境問題 なども残念ながら同時に起きています.原始生活に戻らないならば環境問題 を解決するのも技術の発達以外にはありえません.それはしかし,工場や 専門家だけの努力だけでは達成できないでしょう.君たちが技術について より詳しく学んで,将来は専門家として活躍するなり,または一般の人 として自然環境に配慮する技術はどのようなものであるのか考えることが 必要です.